文学、ライトノベル、ドラマなどのミステリ作品を考察し、現代ミステリの変化を論考した評論書

謎解きはどこにある
――現代日本ミステリの思想
渡邉大輔【著】
四六判上製 384ページ
定価3,300円(本体3,000円+税)
「快適至上主義(倍速視聴・どんでん返しの否定)」の世界で名探偵はどこに向かうのか
ミステリ的なコンテンツは現在においてもなお、大衆に好まれていると同時に、本質はかつてからずいぶんと隔たりができた。そんな現代ミステリがはらむさまざまな論点の分析に際して、単にミステリ/ミステリ評論ジャンル内の問題意識や関心に留まるのではなく、現代思想をはじめとした多様な知見を援用し、文化や社会、そして人文知全般の変容との関わりの上に今日のミステリの変容を深く捉えようと試みた評論書
本格ミステリ=探偵小説というジャンルは、映画と同様に、近代、あるいは二〇世紀という固有のパラダイムの内実をはらんだ典型的な文化の一つだとみなしうる。そして、だとするならば、しばしばポストモダンとも称される社会の到来とともに、その大小さまざまなジャンル的な変容が見られることは時代的な必然でもある。それゆえ私がこれまで映画批評の仕事でも取り組み続けてきたように、その変容を批評的に検討することには意義があるだろう。(「おわりに」より)
渡邉大輔(わたなべ・だいすけ)
1982年生まれ。映画史研究者・批評家。跡見学園女子大学文学部准教授。専攻は日本映画史・映像文化論・メディア論。映画批評、アニメ批評、映像メディア論を中心に、文芸評論、ミステリ評論などの分野で活動を展開。著作に、『イメージの進行形――ソーシャル時代の映画と映像文化』(人文書院) 『明るい映画、暗い映画――21世紀のスクリーン革命』(blueprint)、『新映画論 ポストシネマ』(ゲンロン)、共著に『アニメ制作者たちの方法』(フィルムアート社)『スクリーン・スタディーズ』(東京大学出版会)『本格ミステリの本流』(南雲堂)ほか。
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