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新刊情報

浜中刑事の妄想と檄運

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浜中刑事の妄想と檄運

浜中刑事の妄想と檄運

小島正樹 著
四六判上製 368ページ
本体1,800円

《奇想》と《不可能》を探求する革新的本格ミステリー・シリーズ 本格ミステリー・ワールド・スペシャル最新刊!! 監修 島田荘司/二階堂黎人
村の駐在所勤務を夢見る浜中康平は強運で事件を次々を解決する群馬県警捜査一課の切り札。駐在所での日々を妄想し、手柄をたてることを望まない彼は容疑者の境遇に同情をし、その言葉を信じるとき、事件の小さな綻びに遭遇する。
「その正直さが、お前の武器なんだろうな。それにお前は、運だけの刑事じゃない。捜査員として、なかなか素質があると思うぜ」

その村には、心に闇をまとった女性がいた。駐在所に赴任した浜中は、その女性の家に、すでに何度もかよっている。
彼女は二十代前半で、ちょっと怖いほどに美しい。だが浜中に、下心はない。彼女の負った傷をいやそうと、ただそれだけを考えていた。
もちろん彼女だけではない。村人たちの悩みのすべてをなんとかしたいと、浜中は常々思っている。
「なあ、ミスター」
天から声が降っている。浜中は強くうなずいた。そう、自分こそ、まさしく「ミスター駐在」なのだ。
「ミスターけ・い・じさんよ」
夏木の声だ。浜中ははっとわれに返った。
「妄想に浸るのは勝手だが、運転中は勘弁だぜ」

この内容なら、〈本格ミステリー・ワールド・スペシャル〉として出す必要がないように思えるが……
……という私の考えは、終盤で打ち砕かれる。この中篇は、まぎれもなく《奇想》と《不可能》の物語であり、〈本格ミステリー・ワールド・スペシャル〉の一冊にふさわしい作品だったのだ。
そしてこの考えは、次の「浜中刑事の悲運」を読むことによって、確信に変わる。こちらの中篇も、浜中刑事を主人公とする倒叙ものとして始まり、終盤で《奇想》と《不可能》が浮かび上がるというプロットを持っているからである。作者は意図的に、『龍の寺の晒し首』とは異なるタイプの《奇想》と《不可能》の物語をひっさげて、〈本格ミステリー・ワールド・スペシャル〉に、二度めの挑戦をしたのだろう。(解説より:飯城勇三)

浜中刑事の妄想と檄運
(本格ミステリー・ワールド・スペシャル)

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本格からHONKAKUへ

小島正樹 (単行本 - Apr 11, 2015)
¥ 1,944

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